麦ノ助 n o t e s

トラはサバンナの夢を見る？
トラはサバンナの夢を見ないと思う
村上龍が主催しているJMM（Japan Mail Media）のメールマガジンに寄稿している滝田明日香さんの『マサイマラ・レポート』をいつも楽しみに読んでいます。滝田さんはケニア在住の獣医師で、サバンナをゴツい四駆で走り回ってゾウやカバやライオンなどの野生動物と関わるようす、ケニアでの生活やケニア人たちとの文化の違いなどを、楽しく面白くときに怒り憤りながら紹介しています。
その滝田さんが去年の11月のレポートで突然『男の子を出産した』と書いていた時はビックリしました。毎週のレポートには妊娠の事について何も書かれていなかったので。それからその後のメールマガジンで何回かにわたってケニアでの出産レポートが続きましたがこれまた面白かった。

印象的だったのは、出産の2週間前（予定日の1ヶ月前）までサバンナを走り回っていたという話。彼女のタフさに感心しつつ、根拠はないけど予定日の1ヶ月前まではそこそこ活動できそうだと考えていたわたしも心強かったです。
けれどケニアでの出産の入院が通常たったの3日という話にはびっくり。中には翌日に退院する強者もいるそうだ。わたしは自然分娩でも一週間でした。出産でそれほど体力を失わずに済んだせいか、3日目の朝には「早く退院したーい。ケニア、ナルホドだよ☆」と思ったのでしたが、この入院期間って実際には、体力と身体の回復は当然ながら、授乳（これが意外と大変。乳って自然にあふれてくるものではなかったのね。赤ん坊も母親もクタクタ...）や沐浴など赤ん坊の基本的ケアと寝不足生活に備えた母親育成合宿だと後々気づくことに。出産翌日が一番元気で、徐々に身体は回復していくものの疲労は蓄積していくのでした。夜中の暗い廊下を赤ん坊を乗せたキャリーコットを押しながら縫いキズをかばってとぼとぼ歩くわたしの姿はまるでゾンビだったのでは。。しんどかったなー。オモシロイでしたけど。
もう一つ、ケニアでの産後食がいきなり脂っこい揚げ物やこってりしたものばかりだったというのも、自分の入院時、おかずにラーメン（あっさり味）が出た時に思い出しました。赤ん坊が泣けばすぐにでも授乳室に連れていかなくてはならないので食事は出された時に食べれないことも多いのです。その状況でラーメン！苦笑しました。とはいえ、病院食は全体的に美味しくて満足でした。
病室は、わたしは4人部屋を選びました。一人部屋は追加料金がかかるのが理由ですが、他のお母さんたちと交流ができたらいいなと思ったのもありました。ただ始めは同室の方はみな産科ではなくて病気や手術で療養している婦人科の患者さんたちでした。初日などは深夜に息子がちょっと泣き声を上げそうになるたびにヒヤヒヤしましたが、みなさんとても気さくで優しくしてくれて、ベテランママさん達のおもしろ可笑しい子育て話なども聞けて良かった。駆け出し母にとってはありがたい環境でした。そういえばケニアの病室事情もとても面白かったな。面会時間など関係なくお見舞いの人がぞくぞくとやってきて歌ったり踊りだしちゃったりするそうだ。

一週間の入院生活、もうずいぶん前のことのようです。国内でも、お産の環境は産院によっていろいろで、近頃はホテルのような病室（病室って言うのかな？）のところもあったり、分娩室も分娩台があるとかないとか、立会いについてもホーントにいろいろみたいですね。出産費用も出産育児一時金で十分おつりがくるところもあれば、60〜70万円のところもあってずいぶん開きがあります。そんなこんなで、他の人の話はけっこう興味深い。

滝田明日香さんのケニアでの出産ルポ、すごく面白いので興味のある方読んでみてくださいね！
JMMマサイマラ・レポート　第81回〜第88回
滝田明日香さんのサイト：『asukafrika：女の獣医 in アフリカ』