●家族って・・・にゃあ!
「アンタら一家はほんまに仲良さそうやな」
「あら、そう見える?」
傍目には仲良しで絵に描いたような素晴らしいファミリーに見える家庭であっても歪みはあるものだと、なかば本気で思っているわたしは確かに少し根性曲がりかもしれないけど、やっぱりどんなに難しい問題を抱えている家族のことを考えても、どこかしら身近な家族・親子関係との共通点を見つけてしまうことが出来たりします。
極端な例と思われそうな『心臓を貫かれて』(文春文庫)のギルモア家でさえ。この本は殺人者となった兄をもつ末の弟マイケル・ギルモアが、両親や祖父母やさらに先祖にさかのぼって一家の歴史をたどっていくノンフィクションですが、ほどけるはずもない糸を丁寧にたぐり寄せるようにして損なわれた家族関係や自分自身と向き合うようすは教師的であり、また記憶の中の家庭のようすは反面教師として、わたしにとってこの本は教科書みたいなものなわけです。
そんな教科書の中に、最近ひとつ新しい本(古い本ですが)が加わった。吉永みち子著『母と娘(こ)の40年戦争』 (集英社文庫)です。
これも自分自身のことを書いたノンフィクションで、古本屋でタイトルと背表紙の紹介文にひかれて買ったものだけど、吉永みち子てあとから調べてみたら、TVでよくみかける方だった。
この本で描かれている愛憎相半ばする過激な母娘関係は、たどっていくとある特殊な状況や個人的な性格に根があるわけだけれど、その特殊な部分が何か別のものに置き換わったとしても、結果としての似たような関係は出来上がりうると思う。
過干渉について、秋葉原通り魔事件に関して藤原新也が彼のホームページのTalk欄で行き過ぎた過干渉がネグレクトに等しいというようなことを書いていたことがあって、なるほどねと納得したのでしたが(専門用語の定義はさておき)、そのことも思い出しました。
そうそう、今年のお正月は久しぶりに会った妹と二人で飲みながら「男の子は自分の中で一度母親を殺せって佐野洋子が書いてたねー」なんて話して笑ったのでした。ははは。家族ってややこし!親子ってむずかし!てなわけでヘラヘラしながらこれからもお茶を濁して行こうと思う。
おととい仕事の移動中に読んだ池田満寿夫の『しっぽのある天使―わが愛犬物語』(文春文庫) は(あんまり面白かったのでちょっとの乗り継ぎ時間にも読みふけっていて、帰りの新幹線に乗る前に読み終わってしまった...)犬の大家族との生活についてのエッセイでしたが、犬の家族は犬の家族でイロイロありそうでした。もっとも人間の目を通して書かれているのででかなり擬人的要素はありますが。ねこな書店のページにもコメント載せてます。
Comments
特に私のような病人を抱えた家族は結束も強まるけど、
反面元々持っていた歪みも膿のように湧いて出てきて、
ただでさえ病気でしんどい私をさらにしんどくさせるのです。
特に親子は難しいわー。
夫婦は所詮「男と女」だからどうにでもなる感じやけども。
Posted by macco at 2009/01/23 08:03 PM
親子って遺伝子受け継いでいる分ややこしいんデショねー。
またまた佐野洋子の話ですが、「息子が幼かったとき、自分も息子と一緒に少女時代をもう一度生きられた」んだって。息子が成長して男になったらそれが出来なくなったって書いてるのね。
もしかしたら母親にとって女の子供っていくつになっても自分自身を投影してしまうものなのかもなぁなんて、そないなこと思いましたですよ。ふふふ、未知の世界ですなあ・・・
Posted by 麦 at 2009/01/26 04:36 PM