【業務日誌】築年数ぶんの積み重ね〜三重屋根のお風呂編

京都市内某所にて解体工事が進行中の築50年ほどの木造住宅。ここは骨組みと外壁屋根を残してのリノベーション予定である。

過去に増築されている浴室部分がなかなかのクセモノである。浴室部分は、隣地境界線ぎりぎりに高く積み上げたコンクリートブロックでL型に囲まれていて、ブロックのてっぺんに陸屋根のバルコニーが造られている。陸屋根のパラペットの上には鉄骨のバルコニー。鉄骨は錆び、ポリカの屋根は破片程度にしか残っていない。陸屋根の下には、もともとの縁側の瓦の下屋が差し込まれていて、その瓦屋根の下には後から裏庭にかけた庇が差し込まれていることが、解体が進むにつれてわかってきた。

これまでどんな経緯をたどってきたのか!?
①もともと瓦屋根の縁側があって、②その軒下に裏庭の屋根をかけた。③境界のブロック塀の上にブロックを積み増ししてから木造で陸屋根をかけて、浴室を増築した。④陸屋根の上と瓦屋根の上にバルコニーを載せた。たぶんそんな感じ。
浴室は、解体前はユニットバスが入っていたけれど、撤去したら在来のタイルが出てきた。敷地境界のブロック塀に直にタイルを貼って浴室を作り(こんなの初めて見た)、既存部の縁側を脱衣室に造り変えて繋げたようだ。元縁側に建てた木造の柱は柱脚が崩れて浮いている。

解体して更地にするわけではなく、あくまでも外壁と屋根、軸組を残したリノベーションなので、監督の指示のもと、慎重に慎重に解体を進めてもらっている。過去に増築された浴室の部分は可能な限り取り除いて、光だまりになるような裏庭にしたい。

2階の小屋裏には現役のスズメバチの巣があってブンブン蜂が飛び回っていたが、解体中2度目の打ち合わせ時には出入りしている蜂はいなかったので、巣を捨てて引っ越したのかもしれない。2階は夏はものすごく暑くて、冬はものすごく寒いということだったけれど、スズメバチにとっては夏の屋根裏の超高温って平気なものなのだろうか…。
そんなわけで2階の部屋はほとんど有効に使えていなかったそうだけど、日当たりも良く風も吹き抜けて、今ぐらいの季節だととても気持ちが良い。これから耐震補強と断熱をして、一年じゅう居心地の良い室内に更新していく。